音楽でつながる未来へつながる
せせらぎ流れるこのまちに
ぼくたちの新しいホームができました
about us | 心に響く上質の音楽を届けたい |
---|---|
同じ想いをもつ音楽家達 |
三島せせらぎアンサンブルへの想い
代表理事 矢部達哉
「音楽家になって、その価値観が変わるような経験は?」と、もしも問われたならば、私は迷うことなく2020年8月11日の三島でのコンサートを、はずせない一つとして数えさせていただきます。
コロナ禍に発出された緊急事態宣言によって幾多の演奏会が余儀なく中止とされ、のみならず音楽家同士が集って練習することさえできない辛い時間が続きました。その直後であったがゆえに、余計に印象深く感じたのかも知れません。30年の音楽家人生で様々な経験をさせて頂きましたが、三島で生まれたあの日の空気や空間は、それまで感じた事のない、唯一無二の、得難いものでした。
共に全身全霊でベストを尽くした音楽家達、それを真剣に受け止めてくださった聴衆の皆さん…。あの日の三島でのコンサートは、まるで新型コロナで失った日々の欠落したパズルを埋めるかのように、われわれ音楽家達の心を満たすとともに、音楽を伝える意味や意義を改めて思い起こすきっかけを与えてくれました。
得難い時間を共有したメンバーの中で『三島前・三島後』という言葉が飛び交い、全員が一様に、「また三島に帰ってきたい」「美しい三島で、出来るだけ多くの市民の皆さんに音楽を届けたい」という想いを強く持つことになったのです。
ただ音楽を届ければ良いのではなく、演奏の【質】が大事であり、理念を共有し楽しんでくれる音楽家によるものであること、 ︎何より地域の皆さんや子ども達に喜んで頂けることを1番の目標にしてきた私たちの思いは、2022年1月、多くの方々のご協力のもと、三島せせらぎ音楽祭の開催として実を結びました。
経験豊富な素晴らしい音楽家達が全身全霊で音楽を届けようとしてくれて、あの夏の日と同様の特別な音楽が紡ぎ出されました。なぜ三島だとそんなことが……実のところ上手に説明が出来ません。ですが、街の美しさ、食事の美味しさや人の温かさなど、三島の街に魅了される中、街中を流れるせせらぎに触れた時に「この水があらゆる邪気を流しているに違いない」ということに気付きました。今では、この土地から感じる清廉な空気によって、まるで化学反応を起こしたかのように美しい音楽が奏でられるのではないかと感じています。
今後も、「三島せせらぎ音楽祭」を中心に、毎年、三島でコンサートを行いたい。ホールだけではなく、学校などいろいろなところへ出かけていって、もっともっと多くの人に音楽を届けたい。どのような場所でも常に上質でこころに響く本物の音楽を届けることが出来たならば、それは私たち音楽家にとっては、まさに望外の喜びといえます。
同じ想いをもつ三島に魅了された14名のメンバーを三島せせらぎアンサンブルと名付けました。
まだ一歩を踏み出したばかりですが、今後、我々の地域での積み重ねが、日本の音楽界に大きな流れを生むことを切に願っています。
2022年3月